税務調査で生活費の状況を聞かれるケースとは
こんにちは。税理士の吉田です。
今日は生活費の状況について。
税務調査(特に個人の税務調査)では、生活費の状況を聞かれることがかなり多いと感じます。
なぜ税務署は生活費を聞きたがるのか
これはすごく簡単なことなんですが、税務署はこう考えています。
「申告された所得金額≒生活費」
当然と言えば当然ですが、所得金額よりも生活費が多ければ「所得をごまかしているのではないか?」、逆に所得よりも生活費が少なければ「それ相応の貯蓄があるのではないか」と考えます。
生活費というのは月々でも変わりますし、正確に「年間の生活費は○○円です」と答えられる人は少ないと思います。
ですが、やはり、「所得金額≒生活費」という算式はかなり信ぴょう性が高いと感じます。
生活費とは?
生活費も様々です。
食費、外食費、水道光熱費、通信費、税金、授業料等、社会保険、理美容代、新聞代、生活に関わるもの全てです。
見逃されがちなのは、ローンの返済、養育費の支払い、これも税金を払った残りから支出されるので、生活費の一部です。
また、娯楽費、例えばタバコ代、お酒代、競馬・パチンコなどのギャンブルもそうです。
わかりやすくいうと、事業経費以外の個人的支出が全て税務署でいうところの生活費に当たります。
生活費を所得と推計される場合もある
これはかなり強硬的な推計方法ですが、どうしても所得金額が現存する資料で把握できなく、事業実態の内容解明が難しいと判断されるとき、税務署もやむなしという形で、「生活費を所得金額とする形でどうでしょうか?」と提案されることがあります。
課税方法としては楽な方法になるのですが、果たして実態と合っているかどうかは疑問が残ります。
先ほども書きましたが、生活費を100%の精度で答えられる人はいないと思います。
「おそらくこうだろう」
というあくまで憶測を基にという話なのです。
私たちも生活費の確認をします。
私たちにご依頼される案件として、「領収書を紛失してしまった」という案件もあります。
そういった場合は、税務署に指摘される前に生活費の状況を聞き取りします。
聞き取りした生活費と私たちが計算した所得金額に相当な相違がある場合は、何が原因かを探っていきます。
そうすると、保険金の入金があったり、親から借りていたり相続されていたり、奥さんの収入で賄っていたり、経費が思ったより少ないということもありました。
私たちもなるべく多くのことをヒアリングさせていただいて、なるべく実態に近い申告をしなくてはいけません。
特に資料の保存状況に難がありそうなお客様に関しては、重点的に状況を確認させていただきます。
内容を探っていくと、やはり所得金額と生活費が近似値になっていったりもします。
それが結果的に調査に役に立つと考えています。