領収書が無い場合の経費計上~外注費編~
こんにちは、新陽税理士事務所の吉田です。
今まで数多くの調査事例の中で、税務調査の時に領収書が無い(紛失)ということも稀にありました。
基本的には「領収書が無いと経費は認められない」という原則は変わりません。
ですが、そこまで税務署も鬼ではないので、認められるケースもあります。
その辺のことについて解説していきます。
振込か現金払いか
振込の場合
振込の場合は、振込の履歴がそのまま領収書の代わりになります。(振込で支払いの相手先、支払いの事実が確認できる訳です。)
あとは、外注費がどのような仕事をしてもらったか証明すれば良いわけで、工事台帳や業務簿などで外注内容を調査官に説明します。
ただし、外注先からの証明ではないため、外注先に仕事内容の確認として反面調査が行われる可能性が高いdす。
一番良いのは請求書を再発行してもらうことになります。
現金払いの場合
現金払いの場合は、まず領収書を再発行してもらうことです。
振込とは違い相手先に払ったかどうかが客観的に証明できないため、領収書が必要になります。
領収書が発行できないとなると、調査官に反面調査に行ってもらうしかないでしょう。
相手先で正しく帳簿を作り申告されているのであれば、その事実を持ってこちらの経費算入が認められる可能性は高いのですが、帳簿が無い、申告していないとなると、かなり厄介です。
まず、こちら側としては支払金額と外注内容を確定させたうえで、外注先と合わせていくしかありません。
振込とは違い証拠が残らないので、払った・払っていない・金額が違うなどの水掛け論になることもあり得ます。
反面調査
支払金額が客観的に証明できない、外注内容が不明などの場合は、反面調査と言って、調査官が外注先に訪問又は電話などで支払いの事実や内容・金額の確認をします。
その際に相手方の氏名、住所の聞き取りがあるので、こちら側としては控えておく必要があるでしょう。
給与なら住所氏名等を記載した源泉徴収票があるので、反面調査しやすいですが、外注先で領収書がないとなると、住所を控えることをしていないケースもあります。
反面調査ができなければ支払いの事実が確認しようもありません。
いくらこちら側が「間違いなく支払いました」と言っても、第三者からみて支払った事実が確認できなければ、経費計上は困難です。
どうしても領収書などがなく、外注先の住所氏名もわからない場合
このケースは正直お手上げです。
外注費が全く認められない又は、推計で外注費を認めてもらうか、その2択になります。
推計方法は合理的で税務署が納得してくれるのであれば良いのですが、最悪同業他社の比率などで計算されることもあるでしょう。
外注費は売上原価の中でも原価率が安定している項目ではありません。
たまたま仕事が重なると外注費が多くなり、仕事が安定していると外注費が少ない傾向もあります。
その事業者ごとに、その年度ごとにも支払いの金額がかなり変動する項目です。
同業他社比率とすると不利になる場合も想定できますので、覚悟は必要です。
あとは落としどころの交渉となります。
まとめ
外注費は相手先がいることなので、かなり厳しくみられる項目です。
また、書類が無いと不利になる可能性が高い項目なので、なるべく不利にならないよう色々な可能性を探って努力してみることです。
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