実地調査前に売上が大幅に少なかったことが判明した場合の対処方法
こんにちは。札幌の税理士の吉田です。
今回は実地調査前に売上が大幅に少なかったことが判明した場合の対処方法をお伝えします。
売上が大幅に少ないとはどれくらい?
100万円違っていれば大幅、1,000万円なら大幅、人それぞれだとは思います。
売上を気にしない人の方が少ないと思いますので、例えば集計ミスなんかで1/2になっていたとします。
4,000万円なら2,000万円、1,600万円なら800万円、集計ミスは誰でもあると思いますが、さすがにこれだけ違っていれば申告書を作る段階で分かりそうな気もします。
2,100万円の売上を2,000万円で申告したとしたら集計ミスの可能性も高いと考えるのが一般的のような気がします。
では大幅に違っていたときは修正申告しますが、その時期が問題になってくるわけです。2パターン紹介します。
1.実地調査前までに修正申告する方法
過少申告加算税が安くなる
まず、既に間違いのない誤りに気付いてしまった訳ですから、実地調査前でも後でも修正申告は確定的です。
あとは修正申告する時期ですが、実地調査前に修正申告を行うと基本的に「自主申告」扱いになります。
自主申告扱いになると、基本的に過少申告加算税がかかりません。
※平成29年1月1日以降に法定申告期限又は法定納期限が到来する国税からは、実地調査前であっても5~10%の過少申告加算税がかかります。
重加算税はかかる?
まず法律的にですが、平成29年1月1日よりも前ならかからなく、それ以降ならかかる可能性があります。
これは、重加算税は過少申告加算税に「代えて」かかるものなので、そもそも過少申告加算税がかからない年度については、重加算税がかかりません。
「売上の漏れ=重加算税」とはすぐさまつながらないのですが、売上に関しては税務署も厳しくみます。
税務署職員も出世したいので、重加算税で取りたい気持ちはあるものです。
税務署の心証
まず、実地調査前に修正申告を提出するのは納税者の認められた権利です。なので、それに文句を言われる筋合いもないのが本当の話です。
ですが、やはり実地調査後に売上漏れが発覚すると、重加算税がとれる、取れないにかかわらず税務調査官の手柄になるわけですから、税務調査官としては実地調査後に修正申告して欲しいわけです。
そういった意味で、嫌な雰囲気を出す調査官もいます。また、修正申告書もすぐに作れるわけではないので、実地調査前ギリギリに提出することも多いです。修正申告の内容にも目を通さなくてはいけないので、税務調査官としても余計な仕事が一つ増えたわけです。
心証はよくないはずなので、実地の税務調査開始早々に、なぜ修正申告したかを言った方が良いでしょう。
2.実地調査前後に修正申告をする方法
実地調査後に修正申告をすると過少申告加算税が10~15%かかります。
また、過少申告加算税がかかるということは、重加算税がかかる可能性もすべての期間出てきます。
これはこれで、大幅に売上がずれているのですから、税務署としても「仮装隠ぺいがあった」として重加算税になるようにもっていきたくなるというものです。
「売上が大幅にずれている=他にも何かある」とみられても不思議ではありません。「1」の場合よりも躍起にはならないという程度かも知れません。
売上金額相違の理由が焦点
やはり重加算税が視野に入ってくる事案ですので、「故意」かどうかがポイントになってきます。
では故意じゃないにしろ、本来4,000万円の売上が2,000万円で申告された場合、信じろという方が無理があるのかも知れません。
売上にしろ仕入れにしろ経費にしろ、大幅な金額のズレは厳しい追及を受けることになると想定されます。
仮に「間違い」であったにしても、きちんと税務署に謝ることが大切です。(税務署に対して悪いわけではないのですが)
また、今後はしっかりと申告していく意思も示した方が良いです。このような事案では、税理士がついていないケースがほとんどだと思いますので、税理士に今後見てもらうというのも1つの方法と思います。
情状酌量的な話になってしまいますが、そういったことも必要です。
新陽税理士事務所への税務調査立ち会い依頼は下記をご覧ください。
税務調査対応税理士のご紹介はこちらから。